国内外のリースホールド
事例見学

ハムステッド・
ガーデン・
サバーブ英国ロンドン建築年:1907年〜1930年

レッチワースの設計者が携わった
都市近郊の住宅地

1907年からロンドン近郊で開発がスタートした住宅地。産業革命が進み工業が発達した19世紀、都市部では工場から出されるばい煙や汚染水による環境悪化が進み、劣悪な住居から人間らしい住環境を取り戻そうと始まった「田園都市構想」が広がりました。エヴェネツアー・ハワードが提唱し、世界で最初の田園都市となったレッチワースで、設計競技によって採用された建築家レイモンド・アンウィンの才能を見込んだ自然環境保護の運動家ヘンリエッタ・バーネット女史が、自ら取得した住宅地で開発した労働者階級向けの都市近郊住宅地がハムステッド・ガーデン・サバーブです。

中世の村落にモデルを求めた
理想郷

映画等でも紹介されることのある巨大な緑地公園ハムステッド・ヒースの周辺が、投機的開発業者によって無秩序な宅地開発の懸念を覚えた彼女は、自然破壊を防ぐために自らの手で「この場所を理想の住宅地にする」ことを思い立ち、投資家を募って『ハムステッド田園郊外トラスト』という非営利組織を設立したのがスタートです。まずは80エーカー(32ha)の土地を取得し、その後240エーカー(約98ha)に拡張して、レイモンド・アンウィンに住宅地の設計を依頼しました。

アンウィンのデザインは、中世の村落にモデルを求めて新しい都市美をつくりだす試みで、建物の設計だけでなく道路計画や植栽などのランドスケープデザインにも視覚効果を高める様々な工夫がこらされました。

100年前の景色が甦る多様性ある
コミュニティ

バーネット女史が理想とした”あらゆる階層の人達がともに暮らす「多様性ある社会」を実現”するために、戸建てや二戸建て、連続住宅(タウンハウス)や労働者階級向けの共同住宅など、様々なタイプの住宅が建設され、多様なコミュニティが生まれたのです。この住宅地の計画は、大阪の千里ニュータウンで参考にされましたが、本家では築80年を超える建物が、今でも土地の所有をせずに借地権で1億円を超える価格で取引されています。ここに住む住民の誇りは「あなたが目の前で見ている景色は、100年前も同じだったのよ!」と来訪者に自慢することです。

2010年6月に英国ロンドンにあるハムステッド・ガーデン・サバーブをWebマスターの若本が視察しました。