国内外のリースホールド
事例見学

武笠ガーデン埼玉県さいたま市緑区計画スタート1996年~2006年

ロッキー住宅提供

100年定借の開発スタート

日本で定期借地権が創設された平成4年、地主の資産を守るため、顧問税理士がこの法律を利用できないかと、地主とともに建設会社を設立して開発した住宅地です。住宅地全体の面積が約3千坪、全体で50戸を超える計画になったため、何期かに分けて分譲されました。

子孫に土地利用の苦労をさせないため、100年間の定期借地契約とし、100年後も価値が維持される素材として、レンガの外壁を選びました。地震の多い国なので、組積造のレンガ造りではなく、2×4工法の木造下地の仕上げ材として、英国から取り寄せた「スライスレンガ」を特殊な金物に引っ掛ける工法です。

第一期分譲では、日本人の嗜好に合わせて1階の壁面よりも持ち出した(宙に浮いた形の)2階バルコニーを設けた外観で、他の外壁よりも耐久性が高いだけの「日本の家」でした。

英国に学ぶリースホールドと
デザイン

しかし本来組積造のレンガの外観は、下から積上げて窓や玄関入り口などの開口部には、上部の荷重を逃がすために要石(キーストーン)やアーチなどデザインに工夫があり、バルコニーが宙に浮いたデザインでは本物感はありません。そこで第二期以降は、英国の住宅のデザインを取り入れ、シンプルな立方体の平面・立面の構造躯体に、屋根形状も雨漏りリスクが少なく工事費も最小化出来る切妻屋根、そして窓まわりや破風、ドーマーなどの装飾部分に欧風デザインを採用したのです。

それにより、街並みの統一感・調和がとれて日本ではないような風景と、建築費のコストダウンが両立し、近隣で分譲された建売住宅とは全く印象の異なる魅力的な住宅地になったのです。

ロッキー住宅提供

資産価値を維持する
ガイドラインとルール

電柱や電線は地中化したわけではなく、敷地の裏庭に通し、道路から建物の壁面をセットバックして、生け垣などの植栽を統一したことも、全体の土地をひとりの地主が所有する「リースホールド」ならではの住環境づくりに繋がっています。

建物の設計には「デザインコード」を設け、住宅地全体の「アーキテクチュアル・ガイドライン」によって将来的にも景観を維持できる仕組みを取り入れました。個人所有の土地に規制をかける「建築協定」よりも、他人の土地を借りるリースホールドは町並みの美しさを守ることが出来るのです。さらに住宅地全体の管理規約も決めて、マンション同様入居者が民主的に自分たちの資産価値を守るようなルールも決めています。すでに初期分譲から20年以上経過しますが、美しい景観がそのまま守られているのです。

Webマスターの若本が、2007年10月、2014年1月、2015年6月の3回にわたり、武笠ガーデンを視察しました。