よくあるご質問

住宅取得者様

  • 出来れば、世界でたった一つの自分たちの家を注文で建てたいのですが?

    日本の新築住宅は6割程度が注文建築だといいます。しかし世界的には自宅を注文(自由設計)で建てる人はわずかです。世界では、洋服は仕立ての特注品、完全オーダーメイドの「オートクチュール」ほどではなくても、高級既製服の「プレタポルテ」を着るような年収3千万円以上の富裕層が、建築家に設計を依頼して注文建築を依頼します。

    特別なしつらえなので建築費は割高、他の家族では住みづらいため、”建物の将来の中古市場価値”を判断して融資する金融機関は、必要な建築費の3割程度しか貸さないといいます。だから、建築費の7割程度をキャッシュで用意できるお金持ちしか、注文で家を建てられないのです。

    そのような住宅では、取引先を招き、パーティなどでもてなすゲストハウスとしての利用もあるので、その投資を回収できる人たちが建てますが、一般の市民は家族構成が変化し、ライフステージやライフスタイルが変われば当然必要な建物の規模も変わるので、出来るだけ高値で売って次の住宅を取得するのです。だから20年後でも他人にとっても使いやすく、多くの家族が魅力と感じる外観・間取りの住宅をプロが設計したもの(分譲住宅/コンドミニアム)が、中古住宅になっても市場で取引されるのです。

    適切にメンテナンスされた住宅は、中古になっても物価上昇分高く売却できる社会が欧米の住宅取得の常識です。日本の建売住宅や長屋とは品質もデザインもレベル差があり、基本的に50年後も陳腐化しない伝統的様式を取り入れた住宅が、中古マーケットに出てきます。プロの画家が描いた絵と素人が描いた絵が、歴史を重ねてどちらが評価されるか容易に想像つきます。

    ヨーロッパの街並みが美しいのは前者であり、日本の古い街道筋の街並みや大正時代の洋館が今でも美しく感じるのは、すべてをプロに任せたからです。大学を卒業して、数年で建築設計を行う素人同然の日本の住宅会社の設計士とは経験値の違うプロたちの仕事です。

  • お隣の家とは違うデザインで自分たちの個性を出したいのですが?

    欧米の注文住宅は、敷地数千坪の土地に周辺環境から独立して建てられるから、自由設計で個性豊かなデザインでも街の調和を乱すことはありません。一方日本の都市部の住宅地は、近隣が密集していて個性を強調するほど街並みが壊れていきます。

    私はヨーロッパの街並みを見て”音楽ジャンル”のような調和を感じましたが、同じジャンルの音楽CDが作曲家や演奏者が異なっていても、心地よく聞けるのと同じだと気づきました。地域社会の共通資産でもある街並みも使われる外壁材や屋根形状、壁面ラインや植栽などは一定のルールで設計ガイドラインに沿うことが、資産価値も街並みの美しさも維持できるのです。土地と建物の所有を分離するリースホールドは、区分所有の分譲マンションと同様、外部から見える部分は「共用空間」としてプロによるデザインと維持・管理の共同化、室内部分は購入者の個性でどのような内装や設備も自由です。

    米国ポートランド郊外の連棟住宅
  • 一般の戸建て住宅との大きな違いは何でしょうか?

    従来日本で建てられた『定期借地権付き住宅』は、その多くが単に”土地所有と建物所有が分かれた”だけで、見た目の違いはありません。契約から50年後には更地として戻す約束なので、残りの期間が短くなって5年後には更地にするという頃には、建物は老朽化に任せ、所有者であってもメンテナンスしない”廃れた住宅地”のリスクを負います。50年間で使い捨てするのが前提で、土地代を50年間分割で負担するようなものなので、最初の負担は少なく感じても、50年間の地代を計算すると決して安くなく、50年後に家を失うリスクから、契約に躊躇してしまうのが日本の定期借地権付住宅でした。

    しかもバブル期に住宅需要が旺盛で、タダ同然のような郊外の農地や山林を購入したデベロッパーやハウスメーカーが宅地造成に巨額な投資をした後に、急激な地価の下落で販売用住宅用地も「評価損」の計上を迫られました。当然当初の設定価格では土地販売できず、少しでも利益確保するために利用したのが、この”定期借地権付き住宅という販売手法”でした。土地を売買しないから損失は表面化せず、見かけ上土地価格が「保証料」や「前払い地代」に大幅に圧縮できるため、建物価格を3割増しにしても、支払い総額は一般の注文住宅よりも割安に設定できました。売れ残り物件を大きな損を出さず処分出来る、ハウスメーカー都合の売り方だったのです。

    ある程度建物のグレードは高いものの、土地が担保にならないため、中古では売れないという悪い評判も広がって、日本では定期借地権付き分譲は住宅・不動産業界からも敬遠されたのです。購入者にとっては長生きするほどリスクが大きくなり、売ることも出来ない運命共同体の建物です。ただし50年後には確実に更地になるから、将来の空き家問題は生じません。そこが一般の住宅との違いかもしれません。

    英国式リースホールドは、イギリスをはじめヨーロッパに良くみられるような連棟の建物も含まれます。2連棟の住宅は「デュプレックス」、1棟4戸は「フォープレックス」などと呼ばれて、大邸宅に見えるのが日本のアパートや長屋とは全く違う街並み、都市景観をつくります。建物自体はそれぞれ独立し、外壁や屋根が「エクスパンドジョイント」などで連続していますが、音漏れや火災の延焼の対策も行われます。

    一戸建てよりも外気に面する壁面・窓が少ない分、熱損失も少なく、外壁やサッシも大幅に減ることで、建築コストを圧縮しながら断熱性能などは高まります。もちろん価格的に割高となる戸建て住宅も混在するから、予算に余裕のある人は一戸建てを選ぶことも出来る住宅地です。

    敷地が個人に帰属しないため、敷地ごとの駐車スペースはありませんが、その分共用庭が緑豊かでゆとりのある外部空間を住民で共有できます。分譲マンションと戸建て住宅の中間のような住宅地で、1970年代に増えた低層の「タウンハウス」(テラスハウス)が最も近いイメージです。海外では「コンドミニアム」とも呼ばれる別荘地の住宅のようになれば、日本でも人気が高まるでしょう。住宅地全体がオーナーによって管理されるので、マンションの共用部と同様、美しく維持されることが期待されます。